HDSとは?

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既存試験では判定の難しかった日本語コミュニケーション能力を できるだけ定量的に評価することを目指しました。

我々の暮らしにおいても仕事においても、海外の方々との共生、協働が重要になった中、コミュニケーションを支える日本語教育の役割がますます重要になっています。現在、語学力を測る試験はいくつか存在するものの、上級になるにつれて「○○レベルの割には会話が出来ないね」といった声も就労現場の日本人スタッフからは聞かれます。クライアント企業の皆さんは、マークシート方式のペーパーテストではコミュニケーション能力まで測れないことに既に気づいています。

そんな既存試験の認定レベルと口頭コミュニケーション能力とのギャップの解消が、特に就労職場で求められています。そのためには、就労者・学習者(将来の就労者)に対して、今までにない評価基準を目標として提示しなければなりません。
それが「HDS」(=Human resource Development Standard)なのです。

既存試験では判定の難しかった日本語コミュニケーション能力を、インタビューテストやクラス授業での会話を通じて、できるだけ定量的に評価することを目指しました。具体的には、会話能力を使用言語の範囲・文法的正確さ・発音・流暢さ・一貫性と結束性等のカテゴリー(CEFRのカテゴリーを流用)・口頭でのやり取りに層別して分析評価します。

HDSは単なる判定テストではありません

HDSを単なる判定テストとして扱うならば、それはHDSの一面しか活用していません。HDSが示す具体的な能力記述を語学目標の核に置けば、何をどのように学習すればいいか、どのような教材を作ればいいか、どのような講師を養成すればいいか等、あらゆるトレーニングの仕組みが生まれ変わります。そして、就労職場が期待し、就労者本人が満足する方向に向かって、回り道することなく収束していきます。このように、日本語教育の仕組みを再構築するポテンシャルを秘めているのがHDSであるということです。さあ、皆さんでこのポテンシャルを掘り起こす協働作業にチャレンジしていきませんか?

3つのキーポイント

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01目標の具体的共有

あなたの現場で、こんなことが起きていませんか?

  • 目標設定もしないまま、教科書選びやカリキュラム作成に着手 !
  • お客様に聞かないで、講師が勝手に目標設定
  • 研修結果がどうとでも言えるような、曖昧な目標内容
  • 会話能力の向上を目標としたのに、教えることは言語知識が中心

HDSではまず、お客様と研修後の期待レベルを具体的に擦り合わせることからスタート します。就労職場を想定したHDSの具体的な能力記述文は、お客様の研修担当者や職場 上司でもある程度理解いただけます。これによって、コミュニケーション能力をどこま で引き上げるかという目標を合意します。
さらに、能力記述文で言っているイメージを補強するために、レベル毎のモデル人物の 会話を録画したビデオを視聴いただきます。レベルA2はこんな感じの人、レベルB1は こんな、というように、目標とするレベルのイメージを確認できます。
そうして合意した研修後の期待レベルと現状能力とのギャップを埋めるための手段が、 毎回の授業内容となります。

定義文やビデオを使って、目標とするコミュニケーション能力を共有

02能力基準による評価

あなたの現場で、こんなことが起きていませんか?

  • 「会話を上手に」と依頼されたものの、何を基準に上手というのか分からない !
  • ある講師がその受講者を「上手になった」と評したが、私にはそう思えない
  • 結局、筆記形式の小テストで研修結果を測っている
  • 今教えていることが、目標に向かっているのかどうか自信が持てない

口頭コミュニケーション能力を評価するには、そのための基準が必要です。それは筆記テストでは必ずしも評価できないものです。
「上手に話せるように」と言う場合の「上手」にも様々なレベルがあります。 HDSは、CEFRに準拠しながらも、口頭コミュニケーション能力の評価査定をするに 耐えうるように、実用的な工夫を施したものです。今まであるようで無かった評価 ツールなのです。
2018年より、企業や介護施設、および留学生に対する日本語教育で、現時点での能力 評価や研修成果の評価にHDSを使用し、実績を重ねてきました。

クラス観察、またはインタビューテストで言語コミュニケーション能力をレベル評価

03次につながる評価

あなたの現場で、こんなことが起きていませんか?

  • 最後は筆記テストの点数だけで進級を決めた
  • コミュニケーション能力の評価は、クラス担当講師の裁量次第だ
  • 目標は明らかに未達成だったが、何となく言い訳してやり過ごした
  • 合格・不合格の評価はしてみたが、理由をはっきり言えない

研修終了時点だけでなく、途中であっても、習得レベルの確認が可能です。この評価と は、資格試験のように合否だけを決めるものではありません。評価によってその受講者 の弱点がどこにあるのかを見える化し、弱点の克服のために次の手を検討する材料とし ます。「評価して終わり」ではなく、あくまで次につなげるための通過点なのです。
HDSのテスター養成研修で認定された者が、所定の評価基準と評価プロセスに沿って評 価します。研修は数日間。知識習得よりもマインドの変更を促すものです。
なお、テスターであっても、その学習者の担当講師は評価に加わりません。思い入れな く、できるだけ主観を排除した評価とするためです。その学習者に慣れていると、片言 だけで言いたいことが理解できてしまい、評価が甘くなる懸念もあります。

強みと弱みを能力カテゴリー別に把握して、次の一手を指導

商標登録について

株式会社デンソーと学校法人服部学園YAMASA言語文化研究所が開発した日本語コミュニケーション力の指標「HD-Standard」は商標登録されています。

商標登録第6278091号
<区分> 日本語の教授、日本語の応力に関する試験の企画及び実施並びに評価、日本語教育のためのカリキュラムの企画及びクラス運営並びに授業の実施、日本語教育用の教材用図書の制作及び提供並びに貸与、日本語教育機関に対する研修の企画及び実施、日本語教育機関による能力の検定及び認定、日本語教育者に対する研修の企画及び実施、日本語教育者の能力の検定及び資格の付与

商標登録

公益財団法人 服部公益財団について

服部公益財団は、これまで100年にわたり教育・人財育成など「人づくり」に取り組んできました。
2019年、服部公益財団は次の100年に向け「EGAOプロジェクト」を始めました。『海外人財の笑顔で企業そして社会を笑顔にする。』をミッションに、地域の商工会議所、地方自治体、関係団体と連携して労働市場の人財不足という課題解決に取り組んでいます。
また、地域の人々が健康で笑顔で生きることを願い、「心の健康」「身体の健康」「暮らしの知恵」を学ぶカルチャーセンターとして「暮らしの学校」を運営、愛知県より事業の公益認定を受け、岡崎・安城地域で多くの会員様に愛されご利用いただいています。
服部公益財団は、外国人・子ども・女性・高齢者も、皆が笑顔で働き、学び、暮らすことができる社会づくりを目指しています。
「HD-Standard(Human resource Development Standard)」は2020年8月7日に、学校法人服部学園YAMASA言語文化研究所の設置母体の前身である服部公益財団が商標登録を受けており、当会の事務局として日本語教育の発展に尽力しています。